腹黒御曹司の一途な求婚
「蒼士にまた会えてよかった」
「俺もそう思ってる。こうして萌黄の傍にいられて、俺は幸せだよ」
「うん……私も……」

 感情が昂って声が震えると、蒼士がフワリと柔らかく微笑んだ。

「じゃあ、これも貰ってくれる?」

 そう言って、ジャケットの内ポケットから何かを取り出した。
 差し出されたのは、純白のリングケース。

(これって……)

 思わず、息を呑む。
 するとゆっくりと立ち上がった蒼士が私の前で跪いた。

 高鳴り始めた心臓は、胸を突き破ってしまいそうなほど大きく鼓動を打っている。
 蒼士が恭しく箱を開くと、中には煌めくダイヤの指輪が鎮座していた。
 
「改めて言わせてほしい。美濃萌黄さん、俺と結婚してください」

 その言葉を聞いた瞬間、目の前の蒼士の表情が滲んで見えなくなる。
 胸に溢れるのは例えようもないほどの歓喜。感極まって、言葉が何も思い浮かばない。

 頬に歓びの涙が伝うのを感じながら、私はコクコクと何度も頷いた。
 
「よかった」

 たちまち破顔して、蒼士はケースからスッと指輪を抜き取ると、私の左手を掬い上げて薬指に嵌めてくれた。

 中央にはラウンドブリリアントカットが施された大粒のダイヤモンドが。そしてそれを囲むようにパヴェダイヤモンドが配置されている。
 日の光を受けて輝く様はまるで太陽のよう。
 美しくて、いつまでも眺めていたくなる。

「きれい……」
「萌黄の方が綺麗だよ」
 
 立ち上がり、私の隣に再び腰掛けた蒼士が伝い落ちる私の涙を拭う。

「一生、俺の側にいてほしい。いつまでも俺の隣で笑っていてほしい。愛してる、萌黄」
「私も……あなたを愛しています」

 愛を囁くのと一緒に、そっと彼に抱きつくと、ギュッと強く抱きしめ返される。大好きな匂いに体中が包まれて、私は幸せに酔いしれるように彼の胸に頬を寄せた。
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