腹黒御曹司の一途な求婚
濡れたスーツを着替えて、再び店に戻って以降は特にトラブルに見舞われることもなく営業を終えることができた。
締め作業を終えてバックヤードに戻った私を、どこか戸惑った様子で待ち構えていたのは小芝ちゃんだった。
「美濃さん、今日は本当にありがとうございましたっ!本当にすみません!」
私と目を合わせた途端、小芝ちゃんは体を直角に折り曲げて謝罪をしてきた。その勢いに圧倒されながらも、私はオロオロと彼女に頭を上げるよう促す。
「こ、小芝ちゃん、そんなに謝らないでよ。もう気にしないで?あれは自然災害みたいなものだしね。小芝ちゃんもお疲れ様」
「本当に、すみませんでした。それであの、美濃さん、これ……」
小芝ちゃんから手渡されたのは、有名ハイブランドのロゴが印字された大きな紙袋。
受け取って中身を覗いてみると、ビニールに包まれた洋服のようなものと靴箱らしき箱、それに湿布が入っていた。
これを手渡された意味が分からない。訝しみつつ、手元の紙袋と小芝ちゃんの顔を交互に見やる。
「これ、もしかして小芝ちゃんが……?」
「い、いえ!さすがにこんな高いのは買えないです!これ、コンシェルジュデスクから美濃さんに渡すように言われて……あの……久高様からだと……」
「ええぇっ?!」
(いつの間に……って、まさかこれって弁償ってこと?!)
帰り際の久高くんの言葉を思い出して私は目を剥いた。
あのスーツは水で濡れただけだし、クリーニングに出せばまた着られるから、そもそも弁償なんて必要ないのに……。
というか明らかに私が着ていたスーツより五倍は値段が高そうである。弁償どころじゃない。
「ど、どうしよう……こんな、いただけないよ……」
とんでもないものを渡されてしまって動転しながら、私はつい小芝ちゃんを縋るように見つめてしまう。
けど小芝ちゃんは困ったように眉尻を下げた。
「うーん……でもコンシェルに返すわけにもいかないですし……貰っちゃうしかなくないですか……?」
「………………だよねぇ」
それは小芝ちゃんの言う通り……。
返す手立てがない以上、いただくしかない。
こんなに高価な物を買わせてしまって申し訳なさが募る。やるせない気持ちになって、私はガクッと大きく肩を落としたのだった。
締め作業を終えてバックヤードに戻った私を、どこか戸惑った様子で待ち構えていたのは小芝ちゃんだった。
「美濃さん、今日は本当にありがとうございましたっ!本当にすみません!」
私と目を合わせた途端、小芝ちゃんは体を直角に折り曲げて謝罪をしてきた。その勢いに圧倒されながらも、私はオロオロと彼女に頭を上げるよう促す。
「こ、小芝ちゃん、そんなに謝らないでよ。もう気にしないで?あれは自然災害みたいなものだしね。小芝ちゃんもお疲れ様」
「本当に、すみませんでした。それであの、美濃さん、これ……」
小芝ちゃんから手渡されたのは、有名ハイブランドのロゴが印字された大きな紙袋。
受け取って中身を覗いてみると、ビニールに包まれた洋服のようなものと靴箱らしき箱、それに湿布が入っていた。
これを手渡された意味が分からない。訝しみつつ、手元の紙袋と小芝ちゃんの顔を交互に見やる。
「これ、もしかして小芝ちゃんが……?」
「い、いえ!さすがにこんな高いのは買えないです!これ、コンシェルジュデスクから美濃さんに渡すように言われて……あの……久高様からだと……」
「ええぇっ?!」
(いつの間に……って、まさかこれって弁償ってこと?!)
帰り際の久高くんの言葉を思い出して私は目を剥いた。
あのスーツは水で濡れただけだし、クリーニングに出せばまた着られるから、そもそも弁償なんて必要ないのに……。
というか明らかに私が着ていたスーツより五倍は値段が高そうである。弁償どころじゃない。
「ど、どうしよう……こんな、いただけないよ……」
とんでもないものを渡されてしまって動転しながら、私はつい小芝ちゃんを縋るように見つめてしまう。
けど小芝ちゃんは困ったように眉尻を下げた。
「うーん……でもコンシェルに返すわけにもいかないですし……貰っちゃうしかなくないですか……?」
「………………だよねぇ」
それは小芝ちゃんの言う通り……。
返す手立てがない以上、いただくしかない。
こんなに高価な物を買わせてしまって申し訳なさが募る。やるせない気持ちになって、私はガクッと大きく肩を落としたのだった。