腹黒御曹司の一途な求婚
「お、おはよう、久高くん……。えっと、その、昨日のこと、覚えてる……?」
おずおずと訊ねてみたその瞬間、久高くんの顔色からサーっと血の気を失われて、どんよりとした土気色になった。
どうやら忘れられていたわけではなかったみたいだ。
「うん……あの……ごめん。本当にごめん。俺、美濃さんに無理に……美濃さんはただ俺を送ってくれただけなのに……」
「ち、違うよ!そんな、無理矢理ってわけじゃ……」
覚えてくれていたことに胸を撫で下ろしつつ、私は慌てて久高くんの言葉を否定した。
確かに玄関前で突然抱きしめられたのはびっくりしたけれども、決して嫌じゃなかった。
彼はちゃんと私の意思を尊重してくれた。彼を受け入れたのは、私が彼に抱かれたかったからに他ならない。
だから同意の上での出来事だと伝えると、久高くんの秀麗な顔がふわりと綻んだ。
「そっか、なら……」
「あ、あの!私、ちゃんと分かってるから!お互いいい大人だし、このくらいで付き合おうとか言ったりしないから!だから安心して?」
機先を制して、私は精一杯の強がりを口にした。久高くんの口から「勘違いするな」とトドメを刺されるより、自分から言ってしまった方が傷は浅い。
無理矢理笑顔を取り繕い、私はそそくさとベッドから抜け出そうとした。だってお互い裸だ。これ以上一緒のベッドにいるのはさすがに気まずい。
でも手首をギュッと掴んで引き寄せられ、それは叶わなかった。
「いや、そうはいかない」
「え……?」
深刻そうな面持ちで久高くんが呟く。
どういう意味だろうと首を傾げると、途端に腰にがっしりと逞しい腕が巻きつけられて、心臓が縮み上がるくらい驚いた。
間に人一人は寝れるスペースを保っていたのに、少し身じろぎをすれば彼に触れてしまいそうな距離まで近づいてしまう。
腰に回された久高くんの腕が、熱い。
一線は超えてしまったけれども、私は昨日まで異性の裸なんて見たこともなかったのだ。
正直この距離感は刺激が強すぎる。心臓が暴れ回って、胸を突き破って飛び出してしまいそうだ。
真っ赤になって狼狽えていると、久高くんは空いた片方の手で私の手をギュッと握った。
まるで何かを誓うような、真摯な眼差しに射貫かれ、私は二の句を継げなかった。
おずおずと訊ねてみたその瞬間、久高くんの顔色からサーっと血の気を失われて、どんよりとした土気色になった。
どうやら忘れられていたわけではなかったみたいだ。
「うん……あの……ごめん。本当にごめん。俺、美濃さんに無理に……美濃さんはただ俺を送ってくれただけなのに……」
「ち、違うよ!そんな、無理矢理ってわけじゃ……」
覚えてくれていたことに胸を撫で下ろしつつ、私は慌てて久高くんの言葉を否定した。
確かに玄関前で突然抱きしめられたのはびっくりしたけれども、決して嫌じゃなかった。
彼はちゃんと私の意思を尊重してくれた。彼を受け入れたのは、私が彼に抱かれたかったからに他ならない。
だから同意の上での出来事だと伝えると、久高くんの秀麗な顔がふわりと綻んだ。
「そっか、なら……」
「あ、あの!私、ちゃんと分かってるから!お互いいい大人だし、このくらいで付き合おうとか言ったりしないから!だから安心して?」
機先を制して、私は精一杯の強がりを口にした。久高くんの口から「勘違いするな」とトドメを刺されるより、自分から言ってしまった方が傷は浅い。
無理矢理笑顔を取り繕い、私はそそくさとベッドから抜け出そうとした。だってお互い裸だ。これ以上一緒のベッドにいるのはさすがに気まずい。
でも手首をギュッと掴んで引き寄せられ、それは叶わなかった。
「いや、そうはいかない」
「え……?」
深刻そうな面持ちで久高くんが呟く。
どういう意味だろうと首を傾げると、途端に腰にがっしりと逞しい腕が巻きつけられて、心臓が縮み上がるくらい驚いた。
間に人一人は寝れるスペースを保っていたのに、少し身じろぎをすれば彼に触れてしまいそうな距離まで近づいてしまう。
腰に回された久高くんの腕が、熱い。
一線は超えてしまったけれども、私は昨日まで異性の裸なんて見たこともなかったのだ。
正直この距離感は刺激が強すぎる。心臓が暴れ回って、胸を突き破って飛び出してしまいそうだ。
真っ赤になって狼狽えていると、久高くんは空いた片方の手で私の手をギュッと握った。
まるで何かを誓うような、真摯な眼差しに射貫かれ、私は二の句を継げなかった。