腹黒御曹司の一途な求婚
 いつの間にかワンピースのボタンは全て外されていて、あられもない姿が彼の視界に晒される。羞恥に襲われて咄嗟に体を隠そうとするも、手はベッドに縫い止められ、肩甲骨に顔を埋められて身を捩って逃れることもできない。

 大きな手が私のキャミソールの中に潜り込んでいく。心底大切な宝物を扱うような繊細な手つきで身体の線をなぞられ、甘い刺激に私は背筋をわななかせた。

「あ……あぁ……」
「萌黄、かわいい……もっと俺を欲しがって……」

 私の全身に口付けて愛撫を施しながら、浮かされたように久高くんは呟く。
 間断なく与えられる快楽に、私はただ翻弄されていた。恥ずかしいのに、口からこぼれる甘ったるい声を抑えることができない。

 胸のふくらみに触れていた節くれだった手のひらが脇腹を滑り、太腿の外側をそっと撫でる。
 普段は絶対に服で隠れている箇所に触れられ、自分の内側を余すことなく暴かれるようだった。

 少しだけ怖い。
 でも未知への恐怖心と同じくらい、抑えきれない昂揚感もまた、確かに私の中で湧き起こって奔流していた。

「……絶対大切にする。だから俺に全部委ねて?」

 私の体が強張ったことに気がついたのだろう。
 熱がこもった吐息と、慈しむような甘い声でそう囁かれた。

 硬直していた筋肉が弛緩していく。
 久高くんに私の全てをあげたいと、体中の細胞が騒いでいた。
 想いが溢れて腕を伸ばせば、蕩かすような甘い口付けが降ってくる。

 私はそのまま、与えられる熱に身を任せるように目を閉じた。
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