腹黒御曹司の一途な求婚
結婚は結構です
定時が過ぎて、各店舗スタッフの評価シートの確認を終えた私は、オフィスフロアのデスクで大きく伸びをした。
デスクの隅に置いていたスマートフォンがブルリと震えたのは、ちょうどその時だった。
少し嫌な予感がしつつ目線をチラリと画面の方へ向けると、メッセージの差出人として画面に表示されていたのは案の定、彼の名前で。
私は思わずむむむっと、眉間に皺を寄せた。
『取引先からディナークルーズの招待券を貰ったんだけど、よかったら一緒にどうかな?』
彼――久高くんからこうして連絡が来るのは、あの日からもう何度目だろう。
断っても断っても、翌日には何食わぬ様子で二人で会って話そうと誘ってくる。
罪悪感がグサグサと私の胸に突き刺さり、そろそろ心がちぎれ落ちてしまいそうだった。
久高くんから衝撃的なプロポーズ(いまだに信じがたい)をされてから、もう十日が経つ。
あの日、プロポーズは即座に断ってお付き合いもできないと告げたのだけれど、彼はなぜか諦めてくれなかった。
いや、それに関しては私も悪いのかもしれない。
「俺のことは嫌い?」と捨てられた子犬のような目で問うてくる久高くんに対して、はっきりと突き放すことができなかったのだから。
黙りこくる私に、久高くんは苦笑いを浮かべていた。そしてシャワーを浴びてくると言って彼は寝室を出て行った。
残された私はというと……気が動転するあまり、彼に黙ってそそくさと逃げ帰ったのでした……。
デスクの隅に置いていたスマートフォンがブルリと震えたのは、ちょうどその時だった。
少し嫌な予感がしつつ目線をチラリと画面の方へ向けると、メッセージの差出人として画面に表示されていたのは案の定、彼の名前で。
私は思わずむむむっと、眉間に皺を寄せた。
『取引先からディナークルーズの招待券を貰ったんだけど、よかったら一緒にどうかな?』
彼――久高くんからこうして連絡が来るのは、あの日からもう何度目だろう。
断っても断っても、翌日には何食わぬ様子で二人で会って話そうと誘ってくる。
罪悪感がグサグサと私の胸に突き刺さり、そろそろ心がちぎれ落ちてしまいそうだった。
久高くんから衝撃的なプロポーズ(いまだに信じがたい)をされてから、もう十日が経つ。
あの日、プロポーズは即座に断ってお付き合いもできないと告げたのだけれど、彼はなぜか諦めてくれなかった。
いや、それに関しては私も悪いのかもしれない。
「俺のことは嫌い?」と捨てられた子犬のような目で問うてくる久高くんに対して、はっきりと突き放すことができなかったのだから。
黙りこくる私に、久高くんは苦笑いを浮かべていた。そしてシャワーを浴びてくると言って彼は寝室を出て行った。
残された私はというと……気が動転するあまり、彼に黙ってそそくさと逃げ帰ったのでした……。