腹黒御曹司の一途な求婚
君を離さない side蒼士
今日もしっかり残業を終えた午後八時。
オフィスエリアのエントランスを抜けた俺は、奥にある商業エリア用のエレベーターに乗り込んだ。
目指すは五十階にある会員制バーラウンジだ。
このバーラウンジはカウンターを除いて、席は全てカーテンで仕切られた半個室。さらに完全個室のVIP ルームも備えている。
酒だけでなく食事も美味く、プライバシーが保てて使い勝手も良い。経営者や企業の重役などが接待や会食でこぞって利用していることで有名だった。
かくいう俺も、職場の真上ということもあってそれなりの頻度で利用していた。
受付で会員証を提示するとウェイターが出てきて、既に到着していた「お連れ様」の席の元まで案内される。
深紅の絨毯の上を歩きながら、落ち着いた雰囲気の店内の奥へと進む。
足を止めたウェイターがサッと開けたカーテンをくぐると、お先に一杯始めていた男が、ヨッ!と軽快に手を挙げた。
「おまえにしては早いな、蒼士」
「といっても八時は過ぎてるけどな」
「史上最年少課長は忙しいこって。あ、食べ物は適当に頼んどいたから」
ドリンクのメニューを手渡しながら軽口を叩くこの男は、伊勢谷駿(いせやしゅん)。初等部から大学、さらには職場まで一緒という腐れ縁の幼馴染だ。
といっても伊勢谷百貨店の社長令息である駿は、武者修行という形であおうみに勤めているだけなので、いずれは親の会社を継ぐ身であるが。
オフィスエリアのエントランスを抜けた俺は、奥にある商業エリア用のエレベーターに乗り込んだ。
目指すは五十階にある会員制バーラウンジだ。
このバーラウンジはカウンターを除いて、席は全てカーテンで仕切られた半個室。さらに完全個室のVIP ルームも備えている。
酒だけでなく食事も美味く、プライバシーが保てて使い勝手も良い。経営者や企業の重役などが接待や会食でこぞって利用していることで有名だった。
かくいう俺も、職場の真上ということもあってそれなりの頻度で利用していた。
受付で会員証を提示するとウェイターが出てきて、既に到着していた「お連れ様」の席の元まで案内される。
深紅の絨毯の上を歩きながら、落ち着いた雰囲気の店内の奥へと進む。
足を止めたウェイターがサッと開けたカーテンをくぐると、お先に一杯始めていた男が、ヨッ!と軽快に手を挙げた。
「おまえにしては早いな、蒼士」
「といっても八時は過ぎてるけどな」
「史上最年少課長は忙しいこって。あ、食べ物は適当に頼んどいたから」
ドリンクのメニューを手渡しながら軽口を叩くこの男は、伊勢谷駿(いせやしゅん)。初等部から大学、さらには職場まで一緒という腐れ縁の幼馴染だ。
といっても伊勢谷百貨店の社長令息である駿は、武者修行という形であおうみに勤めているだけなので、いずれは親の会社を継ぐ身であるが。