拗らせ女の同期への秘めたる一途な想い
***

どうにか一週間をやりすごし、金曜の朝。
いつものように出社し、今朝までに送られてきたメールの確認をした。
それが終わると、備品の発注連絡の準備をする。
すでに備品の在庫チェックを済ませていたので、それをもとに発注表を作成していたら電話が鳴った。

「はい、総務部の南川です」

隣の席の南川さんが受話器を取った。
南川さんは私より四歳年上の二十九歳。
見た目は綺麗系、本性は真っ黒だ。
一応、私の教育係だった人でいろいろとお世話をしてもらっていた。
でも、それは最初だけ。
私が仕事に慣れたころには、面倒ごとはすべて押し付けてくるようになった。
今では私が南川さんのお世話をしていると言っても過言ではない。
総務の仕事は多岐にわたる。
本人は受付とか秘書とか華やかなところを希望していたらしいけど、配属されたのは総務部。
南川さん的には地味な部署で、出会いの欠片もないといつもボヤいている。

「はい。かしこまりました。失礼します」

電話を終えた南川さんが私に声をかけてきた。

「天野さん、今日の交流会には来れるのよね?」

「はい」

「よかった。例の件、頼むわよ」

南川さんは席を立って私の肩をポンと叩いて給湯室へ消えていった。

あー、最悪だ。
今日は総務、経理、物流部の他部署交流会がある。
南川さんは常に出会いを求めている。
総務部の人には魅力を感じないとか言って、こういった他部署との飲み会に力を注いでいる。
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