【ピュアBL】心が読める推しとアイドルユニットを組むモノガタリ
12.その後――。
時が経つと、白桃大知への中傷は落ち着き、balloonflowerのふたりはリアルで恋人なのではないかと噂は広まっていった。
離れるファンも沢山いそうだなと予想していたけれど、仲が良いのをアピールしていったお陰か、人気がもっと出てきた。
プライベートも順調だ。
一緒に朝を迎えられる時は、一緒に眠っていた布団の中で「おはよう」を言い合う。
朝起きると目の前に白桃大知がいるんだ。
誰よりも信じられる、大切な人が。
それはきっと、当たり前ではなくて――。
「遥斗くん、出来ました!」
布団から出てソファに座っていると、朝食の準備を終えた白桃大知が俺を呼ぶ。
一緒の食卓で、白桃大知と一緒に朝ご飯を食べる。
それも奇跡だ。
もしも白桃大知が俺のファンじゃなかったら?
もしも俺らがユニットを組んでいなかったら?
そして、もう何も聞こえなくなってしまったけれど……もしも心の声を聞く特殊能力がなかったら、俺は別の人生を歩んでいたかもしれない。
他にも……何かがかけていたら、今の景色は見られなかったかも。
「今日は久しぶりに、一緒に朝ご飯食べれるので、嬉しいです」
ダイニングテーブルで向かい合って座ると、白桃大知が言った。
「俺も、嬉しい」
「遥斗くん」と、突然強い口調で呼ばれた。
「何?」
「朝布団の中で抱きしめている時に気がついてしまったのですが、痩せましたよね? 僕がいない時、きちんとご飯食べてます?」
「い、いや……」
ひとりの時はおにぎりと牛乳、そして栄養サプリとか。適当に食べて過ごしてしまう日々。
「もう……きちんと食べてください。あと、目の下のクマも気になります。きちんと睡眠もとってください!」
「う、うん。分かった」
「あとは……」
ユニットを組む前、イベントに参加してくれていた時もずっと、白桃大知の心の中はお母さんみたいに俺を心配していたっけ? 心の声が聞こえなくなっても、こうやって届くように伝えてくれる。だから聞こえなくなってから発生していた不安も、最近は消えていった。
「白桃、本当のお母さんみたいだな」
白桃大知は俺の言葉を聞いて、はっとした表情をした。
「そんなつもりじゃなくて、ごめんなさい」
「いや、謝られることじゃなくて。嬉しいんだ」
「嬉しい?」
「うん。だって、ずっとイベントに来てくれていた時も心の中がお母さんみたいだなって思っていたから……今もお母さんみたいで」
「お母さんじゃなくて、いや、お母さんでもいいですが。相方でありファンでもあり、そしてなんて言えばいいのか分からないけれど、遥斗くんは僕にとってとにかく一番の人で、遥斗くんにとって僕は一番でありたいです。あれ? 僕は今、遥斗くんに何を伝えたいんだろう」
――もうすでに、一番だし。
きちんと言葉にして、伝えようとしてくれているのが本当に嬉しい。
「言葉が上手くまとまったら教えて? 知りたいから」
「はい、分かりました」
「よし、現場に向かおうか」
「今日からしばらく同じ現場ですね」
ふたりで微笑みあった。
白桃大知と本音を言い合えて、一緒に笑い合えることが、幸せだ。
隣にいられることが、本当に幸せだ――。
外に出ると、心地よい風が頬に触れた。
離れるファンも沢山いそうだなと予想していたけれど、仲が良いのをアピールしていったお陰か、人気がもっと出てきた。
プライベートも順調だ。
一緒に朝を迎えられる時は、一緒に眠っていた布団の中で「おはよう」を言い合う。
朝起きると目の前に白桃大知がいるんだ。
誰よりも信じられる、大切な人が。
それはきっと、当たり前ではなくて――。
「遥斗くん、出来ました!」
布団から出てソファに座っていると、朝食の準備を終えた白桃大知が俺を呼ぶ。
一緒の食卓で、白桃大知と一緒に朝ご飯を食べる。
それも奇跡だ。
もしも白桃大知が俺のファンじゃなかったら?
もしも俺らがユニットを組んでいなかったら?
そして、もう何も聞こえなくなってしまったけれど……もしも心の声を聞く特殊能力がなかったら、俺は別の人生を歩んでいたかもしれない。
他にも……何かがかけていたら、今の景色は見られなかったかも。
「今日は久しぶりに、一緒に朝ご飯食べれるので、嬉しいです」
ダイニングテーブルで向かい合って座ると、白桃大知が言った。
「俺も、嬉しい」
「遥斗くん」と、突然強い口調で呼ばれた。
「何?」
「朝布団の中で抱きしめている時に気がついてしまったのですが、痩せましたよね? 僕がいない時、きちんとご飯食べてます?」
「い、いや……」
ひとりの時はおにぎりと牛乳、そして栄養サプリとか。適当に食べて過ごしてしまう日々。
「もう……きちんと食べてください。あと、目の下のクマも気になります。きちんと睡眠もとってください!」
「う、うん。分かった」
「あとは……」
ユニットを組む前、イベントに参加してくれていた時もずっと、白桃大知の心の中はお母さんみたいに俺を心配していたっけ? 心の声が聞こえなくなっても、こうやって届くように伝えてくれる。だから聞こえなくなってから発生していた不安も、最近は消えていった。
「白桃、本当のお母さんみたいだな」
白桃大知は俺の言葉を聞いて、はっとした表情をした。
「そんなつもりじゃなくて、ごめんなさい」
「いや、謝られることじゃなくて。嬉しいんだ」
「嬉しい?」
「うん。だって、ずっとイベントに来てくれていた時も心の中がお母さんみたいだなって思っていたから……今もお母さんみたいで」
「お母さんじゃなくて、いや、お母さんでもいいですが。相方でありファンでもあり、そしてなんて言えばいいのか分からないけれど、遥斗くんは僕にとってとにかく一番の人で、遥斗くんにとって僕は一番でありたいです。あれ? 僕は今、遥斗くんに何を伝えたいんだろう」
――もうすでに、一番だし。
きちんと言葉にして、伝えようとしてくれているのが本当に嬉しい。
「言葉が上手くまとまったら教えて? 知りたいから」
「はい、分かりました」
「よし、現場に向かおうか」
「今日からしばらく同じ現場ですね」
ふたりで微笑みあった。
白桃大知と本音を言い合えて、一緒に笑い合えることが、幸せだ。
隣にいられることが、本当に幸せだ――。
外に出ると、心地よい風が頬に触れた。