【ピュアBL】心が読める推しとアイドルユニットを組むモノガタリ
「そうそう、ふたりのユニット名の候補も考えといてね」
ユニットを組むことが決まってから数日後、事務所で打ち合わせの最中に社長に言われた。
前の事務社では一方的に決まったグループ名。今回は自分たちで決めるのか。
「分かりました。白桃くんと話し合います」
『どうしよう……遥斗くんとのユニット名。どうしよう、何も思いつかない。でも憧れだった遥斗くんと僕のユニットだし、適当な名前じゃないのを何か提案しなくては……』
社長に言われた瞬間から白桃大和の心の声はずっとこんな内容だ。
今もマネージャーが運転する車の中でずっと呪文みたいに心の中で唱えている。
俺のことを崇拝するような感じで見ているけど、全然白桃大和が思っているような人なんかじゃないのにな。
ユニット名か……。
俺と白桃大知の。
ふたりの共通点は特にないし、本当に何も思いつかない。
あとで改めて会議をしよう。
***
ユニット結成してから、忙しいからかあっという間に時が過ぎていく。色んな撮影が続き、ついにドラマの撮影も本格的に始まっていた。
「遥斗くん、迷惑かけないように頑張るのでよろしくお願いします」
撮影が開始される前日、家の中で白桃大知は正座をしながら床に手を置き、深々とお辞儀をしてきた。
この日も朝から撮影で、ロケバスの運転席の後ろで髪とメイクの直しと全体の確認をし、町外れのカフェ前での撮影が始まる。
「遥斗さん、大知さん、お願いしまーす」
スタッフに呼ばれて俺らはバスから降りた。
今日は白桃大知演じる晶哉が、俺が演じている瑠依を誘い、初デートをするシーンだ。撮影中は白桃大知のままなのか晶哉としてなのか分からないけれど『めちゃくちゃ好きだ。愛してる』とか、白桃大知の心の中は賑やかだった。そして順調に撮影は進んだ。
「はい、オッケーです」
『はぁ、ドキドキした』と、心の声が聞こえる。だろうな、こんなに見られてる中で演じるのは、慣れないと緊張するよな。
『だって瑠依くん、僕に触れすぎるんだもん』
そっちの理由か。瑠依くんって心の声で呟いていたから、遥斗ではないってことで、役に入っていたのか? どっちにしても宣材とかの時とは違い、白桃大知は演技が上手く心の声も乱れていなくて、一緒にやるシーンは全てやりやすかった。
帰り際、マネージャーに「家でのプライベート写真とか動画とか、撮りあいしたりして、ためといてほしんだけど」と言われる。
「俺らが仲良いってファンに向けてやるあれですか?」
「そうそう、それ」
「分かりました。やってみます」
「うん、よろしくね」
『わぁ、プライベートを一緒に撮るとか……どうしよう。どうしたらいい?』
桃白大知の心はざわめいていた。
いや、そんな心配しなくても普段から俺はファン向けにSNS発信してるから慣れてるし、俺がリードするから大丈夫だ。
「俺らのプライベートだってさ。よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
桃白大知は不安そうに、何回もまばたきをして見つめてきた。
ユニットを組むことが決まってから数日後、事務所で打ち合わせの最中に社長に言われた。
前の事務社では一方的に決まったグループ名。今回は自分たちで決めるのか。
「分かりました。白桃くんと話し合います」
『どうしよう……遥斗くんとのユニット名。どうしよう、何も思いつかない。でも憧れだった遥斗くんと僕のユニットだし、適当な名前じゃないのを何か提案しなくては……』
社長に言われた瞬間から白桃大和の心の声はずっとこんな内容だ。
今もマネージャーが運転する車の中でずっと呪文みたいに心の中で唱えている。
俺のことを崇拝するような感じで見ているけど、全然白桃大和が思っているような人なんかじゃないのにな。
ユニット名か……。
俺と白桃大知の。
ふたりの共通点は特にないし、本当に何も思いつかない。
あとで改めて会議をしよう。
***
ユニット結成してから、忙しいからかあっという間に時が過ぎていく。色んな撮影が続き、ついにドラマの撮影も本格的に始まっていた。
「遥斗くん、迷惑かけないように頑張るのでよろしくお願いします」
撮影が開始される前日、家の中で白桃大知は正座をしながら床に手を置き、深々とお辞儀をしてきた。
この日も朝から撮影で、ロケバスの運転席の後ろで髪とメイクの直しと全体の確認をし、町外れのカフェ前での撮影が始まる。
「遥斗さん、大知さん、お願いしまーす」
スタッフに呼ばれて俺らはバスから降りた。
今日は白桃大知演じる晶哉が、俺が演じている瑠依を誘い、初デートをするシーンだ。撮影中は白桃大知のままなのか晶哉としてなのか分からないけれど『めちゃくちゃ好きだ。愛してる』とか、白桃大知の心の中は賑やかだった。そして順調に撮影は進んだ。
「はい、オッケーです」
『はぁ、ドキドキした』と、心の声が聞こえる。だろうな、こんなに見られてる中で演じるのは、慣れないと緊張するよな。
『だって瑠依くん、僕に触れすぎるんだもん』
そっちの理由か。瑠依くんって心の声で呟いていたから、遥斗ではないってことで、役に入っていたのか? どっちにしても宣材とかの時とは違い、白桃大知は演技が上手く心の声も乱れていなくて、一緒にやるシーンは全てやりやすかった。
帰り際、マネージャーに「家でのプライベート写真とか動画とか、撮りあいしたりして、ためといてほしんだけど」と言われる。
「俺らが仲良いってファンに向けてやるあれですか?」
「そうそう、それ」
「分かりました。やってみます」
「うん、よろしくね」
『わぁ、プライベートを一緒に撮るとか……どうしよう。どうしたらいい?』
桃白大知の心はざわめいていた。
いや、そんな心配しなくても普段から俺はファン向けにSNS発信してるから慣れてるし、俺がリードするから大丈夫だ。
「俺らのプライベートだってさ。よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
桃白大知は不安そうに、何回もまばたきをして見つめてきた。