カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「外は危険だからね。ただでさえ全盲な姉にそんな危険なことさせられない」

「でもあなたはお姉さんの尊厳を殺していませんか?」

本郷先輩の言葉に、男性は僅かに眉間に皺を寄せた。

「愛ですよ」

「愛?」

「姉を守りたいなら、安全な世界だけで美しい物だけを感じて生きていけるのなら、そんな素晴らしいことは無いだろう?」

「私はそうは思いません。汚いことも苦しいことも知ってるから幸せを喜べるんじゃないですか?」

「幸せを余計に感じたいからってわざわざ感情に波を起こすなんて非生産的だよ」

「そんなこと無い!絶対に無い!綺麗な色も汚い色もこの世界にはあるから人の心は成長するんです!」

「砂雪、もうやめよう」

「でも…」

「二人が幸せならそれでいいだろ」

「幸せ…?」

私の言葉に、男性はありがとうって言った。

「ありがとう。僕達のことを心配してくれてるんだよね?君は優しいね。でも僕達は大丈夫。姉を傷つけない、守れるならそれでいいんだ」

「なんで外に出ることがお姉さんにとって危険だって決めつけるんですか?広い世界を見せてあげることでお姉さんだって…!」

「やめろって。すみません。もう会うことも無いでしょうし、お許しください」

「僕は怒ってなんかないよ。彼女が言ってることが正しいってことも分かってる。でもね、覚えてて。人類がみんな、君みたいに強いわけじゃないってこと」

「よく言っておきます」
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