カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「それから…」

「はい?」

「君が本郷 カナデくんじゃないのなら、学園の生徒会長か関係者に伝えといてくれる?君の学園には素晴らしい生徒が居るってことを」

「…はい。ご依頼も、もう必要ないって伝えておきますね」

「助かるよ」

男性はお姉さんの元に戻って、またベンチに腰を下ろした。
夜になろうとしている公園で二人は動こうとしなかった。

私と本郷先輩は二人に背を向けて歩き出した。
二人とも何も喋らなかった。

生徒会室に戻った時には七時を回っていた。
全校生徒の下校時間はとっくに過ぎている。
周りの教室や部活動の部室も真っ暗で、生徒会室だけが異様に明るく見えた。

生徒会室にも、もう誰も残っていなかった。

「砂雪」

生徒会室に着いた瞬間に壁際に追いやられた私は、壁に背中をつけたまま動けなくされた。

それどころか、急に足の力がスッと抜けてしまったみたいに、ズルズルと床に座り込んでしまった。

その私に覆い被さるみたいにして、本郷先輩に「どうした?」って顔を覗き込まれた。

「疲れました」

「ふーん」

耳の後ろをくすぐるように触る先輩の手を払いのけたいのに力が入らない。
媚薬を盛られたわけじゃないのに…。

「今日は抵抗しないんだな?」

「やめて欲しいって思ってます」

「じゃあ抵抗しろよ」

ゆるゆると手を上げたら、手首を掴まれた。

「ナメてんの?そんなんじゃ止まれないけど」

「イヤ…です」

「本気で抵抗しないならやめてあげれないけどいいの?」

「先輩」

「なに」

「私、間違ってましたか?」

「何が」

「さっきのこと」

先輩が掴んでいた手首を離して、ついでに体も離れてくれた。
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