カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「なに言ってんですか?ちょっと本気でキモいです」

私の言葉に、先輩は声を出して笑った。
こんなに笑ってる先輩を初めて見た。

「お前ほんと怖いもの知らずだな。そんなこと俺に言ってどうなるか分かってんの?」

「どうにかするんですか?」

「さぁ?」

「なんでそんなキモいこと言うんですか」

「キモいかなぁ?お前を守りたいだけなんだけど?」

「守りたい?私は別に守ってもらわなくても大丈夫です!むしろ私の恋を邪魔してるのは先輩じゃないですか。なんなんですか?私を嫌うような素振り見せてたくせに急に、その…真逆の態度取ったり。意味わかんないです」

「お前に危害を加えるもの、触れる奴も邪魔な人間も、除去するなら監禁。あの人はそうやってお姉さんを守ってる。綺麗なままで」

「だからそれが間違ってるって…」

「人間はエゴの押し付け合いなんだよ。そうやってぶつかって、話し合いで納得したり、もう諦めてしまったり、それでも愛してるからどっかで折り合いつけて、時々は納得したふりして離れられずにいる」

「そんなの幸せなんかじゃない」

「それでも愛してるなら?」

「…」

「失くしてしまうこと以上に苦しいことなんて無いって思ってしまったら?邪魔が入ってお前を失くすくらいならこの手でお前を傷つけたい」

「なんで…」

「俺のせいで傷ついて、もっと深く傷ついて、いっそ俺を恨んで忘れられなくなればいい。砂雪、もう二度と俺を忘れるな」

「だからなんなんですか、それ」

「砂雪が俺だけになれないのなら全部壊してやるよ」

「ほんと意味分かんない!もう生徒会抜けますよ!?」

「へぇ」

「抜けますからね!?」

立ち上がって鞄と、長谷川さんがいつも七不思議調査報告書をまとめるのに使っているノートを掴んで、生徒会室を飛び出した。

後ろから「辞めるくせにノート持ってくなよ!」って本郷先輩が叫んでる声が聞こえたけれど、私は振り向かなかった。
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