カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
学園に着いて、教室に入るのはちょっと緊張したけれど、登校した私の周りにクラスメイトが集まってきた。

「須藤さん!心配したよー!」

「砂雪ちゃんおはよ!試験なのに災難だったね…」

「もう大丈夫なの?良かったね」

休んだタイミングがアレだったけど、三日間休んだだけでこんなに想ってくれるクラスメイトがいたことを知った。
だってまだ入学して二ヶ月なのに、こんな風に想ってくれるんだ…。

嬉しかったし、私も大事にしようって思った。

先に登校していた悠太は友達と喋っていて、こっちを見ようともしなかった。

休んでいる間にものすごく勇気を出してメッセージも送ってみたけれど、
そのメッセージに既読マークがつくことは無かった。
きっとブロックされたんだろうな。

朝礼が終わって、もうすぐ一時間目が始まろうとしている時だった。
月曜日の一時間目は音楽だから移動しなきゃいけなくて、教科書やリコーダーを準備している時だった。

全校放送を知らせるメロディーが教室のスピーカーから聴こえてきた。

「一年C組、須藤 砂雪さん。一年C組、須藤 砂雪さん。生徒会室までお越しください。
繰り返します。一年C組、須藤 砂雪さん。一年C組、須藤 砂雪さん。生徒会室までお越しください」

それだけを告げて、放送は切れた。

みんなが私を見た。
モネが「本郷先輩かな?」って言った。

放送の声は知らない女子だった。
生徒会室に呼び出すくらいくらいだから本郷先輩だと思うけど、行きたくなかった。

もうすぐ授業も始まるし、現在進行形で会いたくない人間ナンバーワンなのに。

クラスメイト達は音楽室へ移動を始めている。

まだ残っていた悠太が皮肉っぽい笑顔を作って近づいてきて、私に言った。

「早く行けば?だーいすきな先輩のとこ」

それだけ言って立ち去る悠太に、モネが「ちょっと悠太!何よそれ!」って怒った。

やっと話しかけてくれた。
私を見てくれた。

なのにそんな言葉は聞きたくなかった。

くちびるを噛み締めた。
泣いちゃいそうだったから。

口の中に血の味が入ってきた。
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