カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「モネ、いいから」

「ねぇ、なんなのアレ!?」

「あはは。ね、なんだろうね。機嫌悪いのかな」

「サユちゃんになら八つ当たりしても理解してくれるとか甘えてんじゃないの?ほんとムカつく!」

「ありがとね、モネ。怒ってくれて。大丈夫だよ」

「やだムカつくー!」

「あはは。モネ、音楽室行かないと。遅れちゃうよ。私は…生徒会室行ってくるから」

「じゃあサユちゃんは遅れますって先生に言っとくね」

「ううん。放送は先生も聞いてるだろうし、本郷先輩のことだから根回ししてそう」

「確かに」

別棟まで行かなきゃいけないから、モネは慌てて走って教室を出た。
対照的に、私は亀みたいな速度でゆっくりゆっくり歩いて、すごく時間をかけて階段をのぼった。

生徒会室は本校舎の四階にあって、一階から上るにしても五分くらいでいつも着くのに、二十分くらいかけて行った。

生徒会室では案の定、本郷先輩が一人で待っていた。

「遅い」

入った瞬間に文句を言う先輩に私は応えなかった。

「座れ」

先輩がソファに私を促す。
先輩も会長席から立ち上がった。

「そのままでいいですよ。立ったまま聞きますから」

「なんでだよ。いいから座れって」

「嫌です。なるべく先輩と距離を縮めたくありません」

「いちいち挑発すんな」

先輩が無理矢理私を連れていこうとする。
どうせあがいたって力で敵わないことはさすがにもう分かってる。

無理に抗ってまた逃げ道を塞がれるよりはマシなのかもしれない。

「分かりました…って!」

先輩の手を掴んで私の腕から無理矢理離して、乱暴にソファに座った。
先輩は溜め息をついて、私の向かい側に座った。

隣に座られなくて、少し安心した。
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