カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
大声を出した先輩に、私は怯まなかった。

それどころか怒りのほうが勝って、同じように大声を出して立ち上がっていた。

「ふざけてるのは先輩じゃないですか!あんなことしといて今度は心配したふりですか?あなたが蒔いた種でしょ!何が俺の責任だ、よ。あなたのご慈悲なんかいただかなくても自分でなんとかします。世の中の全員が自分の思い通りになるとでも思ってるんですか」

「入学からの自分の経歴を落としてもか?俺は砂雪を追い詰めた。自分がやったことに後悔はしてない。でも砂雪の学園での経歴に一つ傷をつけたのは事実だ。この学園でお前に取り戻すチャンスを与えられるのは俺だけなんだよ」

「バカじゃないの」

「何がだよ」

「学園の評価だけが人生の全てだと思ってんの?私の恋は学園に悠太が居るから成り立ってたわけじゃない。そんな狭い世界だけで大事にしてたわけじゃない。あんたには絶対に分かんない!」

「なんで俺が分かんないって思うんだよ。お前だって知らねーだろ!」

「知らないって何よ…」

「お前だって決めつけんな。俺がどれだけお前を…」

「うるさい。あんたにそんなこと言う資格無いんだから。自分の思い通りになるなんて思わないで。あんたに助けてもらわなくても自分でなんとかする。ナメないでよ」

生徒会室を出た。

閉めたドアの向こうから、ガンッて何かを殴ったような硬い音がした。

だからちょっと戻って、生徒会室のドアを思いっきり蹴飛ばした。

ガタンって音がして中から先輩がこっちを睨んでた。

再試は絶対に受けない。
本郷先輩の力なんて借りない。

あの人の恋も認めない。

恋が突然終わることがどれだけ苦しいことか思い知ればいい。
< 127 / 236 >

この作品をシェア

pagetop