カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
せっかく距離を取っていたのに、私は立ち上がって先輩に近づいた。

もう一度、先輩に頭を下げてちゃんと謝った。

「本当にすみませんでした」

「だからもういいって」

「それから…」

「ん?」

「居場所をくれてありがとうございます」

「居場所?」

「まだここに居てもいいって認めてくれてありがとうございます」

先輩が立ち上がって私のほうに来た。
右手で私の腕を引いて、左手は私の背中に回して引き寄せた。

キスされちゃうかも…!

そう思ったけれど、キスはされなくて、ただ抱き締められた。
わたがしを包むような優しい力だった。

「好きだ」

「…ッ」

「砂雪を失くさない為ならなんだってするのになんでお前は俺を嫌いなんだよ…」

「それは先輩が…」

「砂雪。俺はお前の敵じゃない」

「どういうこと?」

「誰かよりも特別なんかでもない。お前と同じ…ただ恋を失くすのが怖かっただけのただの人間だ」

「せんぱ…」

「お待たせー!ごめんね、遅くなっちゃったー!」

バンって生徒会室のドアが開いて、先輩達が一気に入ってきた。

「ちょうどそこで鉢合わせたのー…って、アレ?タイミング悪かった?」

鈴城さんが気遣うように声のトーンを落とした。

「あちゃー。私達やっちゃいました?」

長谷川さんが変な想像してるみたいに鞄で顔を隠した。

「タイミング悪かったとしても我慢してください、特にカナデさんは!」

「なんで俺なんだよ!」

戸田さんに言われて焦ってる本郷先輩は、なんか全然隠せてなかった。

「本当にカナデさん、砂雪ちゃん不足なのは分かりますけど早く依頼に行かないと。今日の四時半に教室で待つように約束してるんですから。まぁ遅れたのは私達なんですけど。すみませんね、ジラさせちゃって」

「だからなんで俺がっ…」

中村さんまでそんなこと…!

「あー、それと、今日の依頼にはカナデさんは来ないでくださいね…っていうか、私達もだけど」
< 131 / 236 >

この作品をシェア

pagetop