カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
立ったままだったから私は男子の隣、自分の席に座った。

「話してくれてありがとう」

「須藤…?」

「買わないでいてくれてありがとう。声を上げるの、怖かったよね?」

「もっと早く話してればこうはなってなかった…」

「話してくれてありがとう。ショックだよ、すごく。すごくすごく…悠太が好きだったから」

「うん…」

「悠太も被害者なんだって思いたかった。でも違った。私はきっと悠太を許せない。でも忘れて前に進まなきゃね…。きっかけをくれてありがとう」

「須藤…ごめん…」

ガラッて音がして、私と男子は同時に同じほうを見た。

「悠太…?それからみんなも…」

みんな、悠太に音声を聞かされた男子達だった。

「須藤、ごめんなさい」

「ごめんなさい。俺達がバカだった」

頭を下げる彼らの姿を、私はもう直視することができない。

ジッと私を見ている悠太の目が苦しかったから。
涙で視界がかすんで、苦しくてたまらない。

「砂雪」

俯いて首を横に振ることしかできない。
悠太の言葉なんて聞きたくない。

「砂雪、謝っても許されないことは分かってる。でも最低なことしてごめん」

「音声は…どうしたの…」

「音声はどこにも流したりしてない。あの日、スマホも本郷先輩に壊された」

メッセージを送っても返って来なかったのは、もう私の連絡先すら知らなかったんだね。

「遊びだったの?」

「ごめん」

「ずっと?」

「ごめん…」

「悠太、覚えてる?中学の花火大会…」

「うん…」

「あの時言ってくれたことは?」

「………ほんとだよ」

嗚咽が止まらなくてもう涙を止めることはできなかった。

「悠太…悠太、好きだったよ、本当に…好きだった」
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