カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「ここに来たらお前はもう居なくて、残ってるのもあいつらだけだった。この席に集まってコソコソやっててさ。盗み聞きしてたらお前の音声が…」

「そう…ですか…」

「お前の声を聴いた瞬間、頭に血がのぼった。その場で殴り殺してもよかったのに…」

「私に…その、処女かって聞いたのは心配してくれたからですか?」

「嫉妬だよ」

「嫉妬?」

「お前が酷い扱い受けてんのに、それでも俺は幼稚な嫉妬なんかしてた。お前の全部が俺のものじゃなきゃ嫌なのに、そうじゃなくなったのなら絶対にあいつを殺してやるって…。だから呼び出して、スマホを壊して言ったんだ。今後あいつに近づいたら今度はお前を殺すって」

「殺さなくてよかったですね」

「今だって殺したいよ。あいつに触れられたところ全部…俺で上書きして…」

「なんで言ってくれなかったんですか?最初から話してくれてたら私、先輩にあんな態度…」

「お前の恋が壊れればいいって思ってたのに言えなかったんだよ」

「どうして?」

「誰かが壊す前に、好きな奴自身が壊してたこと、知ったらお前が死んじゃうと思ったから」

真剣な顔で言う先輩がなんだかおかしくて、今までで一番弱くて、優しく見えた。

「死にませんでした」

「うん」

「死にそうなくらい苦しいけど、死にませんでした。先輩達が居たから…」

「うん」

「本郷先輩、すみませんでした。守ってくれて…ありがとう…」

手に触れた先輩が私の目を見て、すぐに逸らして立ち上がった。

「先輩?」

「うるさい」

「え?」

「うるさい、我慢してんだよ」

「我慢って?」

「うるせーなほんとに!キスしたいって思って、でも空気読んでんだよ」

「なんですかそれ。いつも無理矢理するくせに」

「あー…もうほんとうるせぇ」

また私の前にしゃがんだ先輩が、私の後頭部に手を回して、乱暴なキスをした。

「あんなに憎んだ目してたくせに」

「そうですか?」

「急に素直になるなよ。可愛すぎ」
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