カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
その一言が最後。

ギャルさんは声を出してわんわん泣き叫んだ。

「最終警告です」

鈴城さんがギャルさんに言った。

「今後、学園への侵入を固く禁じます。破った場合は在学中の中学校と親御さんへの厳重注意、酷い場合は通報します。分かりましたか?」

ギャルさんは泣きじゃくりながら小さくこくんって頷いた。

そしたら鈴城さんはお姉ちゃんみたいな優しい目をして「やめなよ、パパ活」って言った。

パパ活…?

「本気の恋かは分かんないけど、好きな男の為に自分を傷つけるのやめなね」

しばらく泣いたあと、ギャルさんは「すみませんでした」って頭を下げた。
私のほうは見ていなかった。

オークションで手に入れた制服を身に纏ったまま、ギャルさんは校門を出ていった。

耳たぶで光っているピアスがなんだか悲しかった。

「生徒会室戻りましょっかー」

長谷川さんが言って、みんなが生徒会室のほうへ歩き出した。

「びっくりしました。侵入してたなんて」

「この学年で生徒のふりするなんて無謀すぎだ。しかも三年生なんて」

「どうしても先輩に近づきたかったんですね。先輩、今年で卒業しちゃいますもんね」

「俺には謎だな。そこまで俺に執着する意味が」

「先輩、その顔で生きてくの、辛いですか?」

先輩が私の目を見て、「なんだそれ」って笑った。

「お前が綺麗だって言ってくれた日からそうでもないかなー」

「綺麗って自覚はあるんですね」

「んなわけねーだろ」

俯き加減に笑う先輩の髪がそよそよと風に揺れて、本当に綺麗だった。

「ていうかそんなことまだ覚えてたんですね」

「俺ってピュアだから」

「あっそーですか。…いいんですか、あんな言い方して」

校門のほうを見ていた本郷先輩に言った。

「別にいい」

「酷い男だったーとか言いふらすかもしれませんよ」

「そしたら俺も生徒会長終わりだな」

「なんか全然困ってなさそうですけど」

「砂雪は別に生徒会長の俺は好きじゃないだろ?」

「そもそも先輩を好きなんて言ってません!」

「あっそー」

「さっき言ってた、ギャルさんを放置してでもするべきことがあったって、なんだったんですか?」

「お前の調査と監視」

「こっわ」

「そ。怖いんだよ、俺は」

ふざけてるのか本気なのか分からない調子で言って、先輩も生徒会室へと戻って行った。
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