カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
鎖骨からどんどん下に向かっていくキスがくすぐったい。

「先輩…こわい…怖いの、やめて」

「嫌そうじゃないじゃん」

「せんぱぃ…」

「なに、ごめん、余裕ない」

「私も簡単な女だって思いますか?結局他の女子と同じだって」

「なに言ってんの。ごめん、ちょっともう、ほんとにムリ」

チャイムが鳴る。
二人だけの五時間目が終わってしまった。
終礼も終わってしまったらここを出なきゃいけない。

「先輩」

呼吸が荒くて苦しそう。

「先輩、みんなが来ます」

「だからなに」

「みんなが…、ダメ…です!」

「…みなみのことが気になるのか?」

「それは…」

「みなみには本当に感謝してる。みなみが居なかったらとっくにだめになってたかもしれない。利用してたって言われたら反論できないよ。それでも…自分の恋に正直になったら許されないのか?砂雪…好きなんだよ。お前じゃなきゃだめなんだ…」

本郷先輩にキスをした。

自分からしたキスは初めてだった。
先輩の気持ちを宙ぶらりんにしたまま、すごく酷いことをした気持ちになった。

「先輩?私ね、まだ先輩に内緒にしてることがあります」

「内緒って?」

「まだ内緒です」

「言ってくれないの?」

「まだ…内緒です」

「砂雪、俺のこと好き?男として」

「…」

「はいはい、分かんねぇんだな。…なんでお前だけでいいのに…お前だけが俺じゃだめなんだよ」

「そんなことは…」

「うるさい。期待させんな」

口調は強いのに先輩は私の髪を優しく撫でて、シャツのボタンを留めてくれた。

先輩のネクタイがゆるんでいて、締め直そうとしたらその手を止められた。

「俺に触ったら期待するからな?」
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