カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
終業式。

生徒達がクラスごとに整列するサイドに職員と、少し間を空けて、生徒会員が座っている。

鈴城さんだけが進行役として、ステージに登壇する木製の階段の下で、待機していた。

理事長、校長先生と挨拶が終わり、
生徒達はダルそうにしていたのに、
「生徒会長、本郷 カナデより挨拶です」って鈴城さんの言葉に、女子達は急に元気になった。

予想通り黄色い歓声が凄くて、カナデくんの声が掻き消されるんじゃないかと思った。

なのにカナデくんは一言目に「立派な挨拶ができるように一生懸命考えました。だから聞いてくれると嬉しいです」って言った。

歓声はピタッとやんで、みんなうっとりした表情でカナデくんの声を聞いていた。

みんなの前でカナデくんが美しく聡明であればあるほど、
女子達が色めき立つほどに、カナデくんが好きなのは私、私以外要らないんだからって気持ちが沸々と溢れ出す。

なのにカナデくんは明らかに私を避けている。

挨拶の言葉なんて何も耳に入ってこなかった。

私はただ、カナデくんの興味を再び自分に向けさせることだけを考えていた。
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