カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
日が暮れるまで秘密基地でカナデくんと一緒に居た。

今までの時間を埋めるように何度も求め合った。

待ち合わせした時と同じように、私達は駅まで歩いて、お別れの時間が来た。

私はこの駅まで徒歩でこれるけど、カナデくんは電車に乗らなきゃいけない。
普段は送り迎えしてもらえるカナデくんが電車に乗るなんてすごく変な感じだった。

「砂雪、今日から俺の彼女な?」

「他の女子に殺されませんかね…」

「彼女にはならないとかムリだから。もう俺のだろ?」

「はい…そうです」

「砂雪のことは絶対に俺が守るよ。だからなんにも心配しないで俺に愛されてて?」

人通りがすごく多いし、カナデくんの横を通るたびにみんなに注目されているのに、カナデくんは平気でキスをした。
恥ずかしかったけれど、私も拒めなかった。

「俺さ、夏休みもちょっと忙しいんだ。父さんに任されてる仕事もあるし」

「分かってます。でもまた会えますか?」

「当たり前だろ。また連絡する」

「はい。待ってます」

「砂雪、大好きだよ」

「私もです」

私は今までカナデくんの前で全然可愛くなかった。

意地張ってみたり、嫌味もいっぱい言ったし、酷い態度も取ってきた。
それでもカナデくんは私だけを想ってずっと大切にしてくれていた。

カナデくんの前では可愛い女性でいようって思った。
呆れられたりガッカリさせたくない。

努力しようと思った。
カナデくんにずっと好きでいてもらえるように。

なのにカナデくんは嘘をついた。
大好きだって言ったくせに。

また連絡するって言ったくせに。

夏休みに入ってカナデくんに会えたのは一日だけ。

あれから一度も会えないまま、八月になった。
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