カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
カナデくんがどこかに電話をかけた。

「うん、うん。いや、学園はもう出た。今はー…そう、交差点らへん。分かった、ありがとう」

電話を切ったカナデくんは私の手を引いたまま、クリーニング屋さんの軒下に入った。

太陽からちょっと逃げられた。

「誰に電話してたんですか?」

「迎え呼んだんだ。電車で帰るつもりだったけどお前が本当に体調悪いなら困るから」

「大丈夫です。私、帰ります」

「なに言ってんだよ」

「何って…?」

「俺に会いに来たくせに」

「…」

「後で話そ。ちょっと暑すぎるよなぁ…うまく頭回んない」

「…どこで?」

頭が回んなきゃうまく言い訳もできないってことなのかな…。

もう終わりなんだ。

カナデくんが呼んだ迎えが来るまで、二人でクリーニング屋さんの軒下でジッとしてた。

お店の中で店主のおばあちゃんが私達を見ていたけれど、この晴天だ。
何も言わずにそこに居させてくれた。

手は繋いだままだった。

「あちー」って言いながら制服の襟元をパタパタするカナデくんの首筋には汗が滲んでいて、色気を漂わせる。

その腕で、体で鈴城さんを抱いてきたの?

今、その言い訳を一生懸命考えてるの?
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