カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
八月十五日。

まだお昼なのに私の住む町も、駅前の繁華街も浴衣姿の男女がいっぱい居て、日常とは違う雰囲気を感じられた。

また同じ場所での待ち合わせ。
今日はカナデくんより先に着けたからこれだけで絶好調だって思える。

「砂雪、久しぶり」

「カナデくん!お帰りなさい!」

「あぁ。こっちはやっぱあっついな…」

「いいなぁ。私も避暑地でのんびり過ごしたかったです」

「家族だけかお前と二人ならのんびりできるけどな」

「あはは。そうでした。お疲れ様でした」

「行くんだろ、秘密基地」

「はい」

「早く行こうぜ。砂雪とだらだらしたい」

今では当たり前になった、カナデくんと手を繋いで歩くこと。

すれ違う人達の視線を集めてしまうことにはまだ若干慣れないけれど、誰にも譲りたくはない。

カナデくんを繋ぎ止めておけるのなら、私はなんだってする。

カナデくんが私だけになれないのなら、私がカナデくんの恋を正しく直してあげるからね?

どこに居ても人の視線を集める人。

こんな人が本心で私を求めているのなら最高だけど、信じて依存して裏切られるのはもう嫌なの。

カナデくん、言ったよね?

俺に依存しろって。

そうやって依存させてから全部壊すんでしょ?

そんなことさせないんだから。

私を想って焦がれた分だけ、カナデくんに本当の愛を教えてあげるね。
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