カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
マンションの部屋に着いて、カナデくんはカーテンと窓を開けた。

生ぬるい風が部屋に吹き込んだ。

「ここさ、よく来てんの?」

「そうですね…。平日はあんまりですけど連休とか、それこそ夏休みは何回か来ましたよ。モネとも遊んでるし」

「自宅じゃないにしては綺麗にしてるなって思ったんだ」

「いつ誰が来てもいいように、です」

「モネちゃんと俺以外の誰が来るんだよ」

立ったままでちょっとかがんでキスされる。
カナデくんは身長が大きい。

私を逃さないようにするのがじょうず。

そのたびにドキドキして、細胞ぜんぶでカナデくんが好き!って叫びたくなっちゃうんだよ。

「花火、何時からだっけ」

「カナデくん、本当は花火なんてどーでもいいんでしょ?」

「んー」

「可愛いですね」

「うるさい。生意気言うな」

当たり前みたいに私のブラウスを脱がせようとするカナデくんの手を留めた。

「砂雪?おあずけはムリだって言ってんだろ」

「慌てないで?ね、今日は私の話を聞いてください」

「あとで」

「だめ。今です」

「もー。なんだよ」

いじけた顔も可愛い。

元々は私を支配しようとしたのかもしれないけれど、
今はカナデくんのほうが従順だ。

しょんぼりするカナデくんの後ろに手を伸ばして、窓とカーテンを閉めた。

セミの声が少しだけ遠くなった。
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