カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「私は悠太のことが本当に好きでした。でも裏切られて…カナデくんが助けてくれた。失恋してすぐにカナデくんに乗り換えたら最低だって思ってたことも本心だし、また裏切られるかもしれないって思うことも怖かった」

「俺は砂雪を裏切らない。絶対に」

「ううん。もういいんです…」

「いいって、なにがだよ」

私は起き上がってベッドから出た。
カナデくんも肘をついた状態で上半身だけを起こして私を見た。

「砂雪?」

「ごめんなさい、私。お茶も出さないで」

「いらない。こっち来て」

「待っててください。私が喉乾いちゃったんです」

キッチンの冷蔵庫からペットボトルの麦茶を取ってグラスに注いだ。

ここにあんまり来ない日は冷蔵庫の中は空っぽだけど、今日はカナデくんが来るから準備してたんだ。

「カナデくん、ベッドにこぼしたらいけないからこっち来て」

カナデくんが寝室からリビングに出てきて、座椅子に座った。
その隣に私も座った。
座椅子は一個しか無いけれど、全然平気だった。

麦茶を飲んで、カナデくんは腕時計を見た。

「花火、何時くらいに行く?」

「まだまだ明るいじゃないですか。外は暑いし、もう少し日が暮れてからにしましょ?それにまだ話は終わってませんよ」

「砂雪が俺を陥れるっていうか、引きずりおろそうとしてたことは分かったよ。実際、お前がここまで優秀だったのも驚いたし。でもこの部屋が存在することと繋がってスッキリしたわ。俺は砂雪に怒ったりもしてないし今は違う感情で一緒に居てくれてるんだって分かったから。それだけでいいよ。本当のことを知ったからって俺には砂雪を拒絶できない。一緒に居て欲しいのは俺のほうなんだから」

「そう…。今は違う感情、です」

「ん?」

「カナデくん」

カナデくんの膝に乗るようにして、首に腕を回した。

顔が近づく。本当に、クラクラしちゃうくらい綺麗。
この人の全部が私のもの。

学園中が彼を自分のものにしたいと必死になればなるだけ、私の承認欲求は満たされるし、過去の裏切りからも解放される。
カナデくんは私を溺愛してやまない。

でもね、カナデくん。
その感情が強くなればなるだけ、怒りも増すんだよ?

あなたを奪われるかもしれない恐怖。
深く依存した分だけ、めちゃくちゃに裏切って壊されるかもしれないんだもん。

その前に私がカナデくんを正しくしてあげなきゃ。

ね?正しい恋は私が教えてあげる。
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