カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「さゆ…ッ…なんか、暑くない?」

「そうですか?」

カナデくんの額に触れる。
こんなに冷房の効いた部屋で、しっとりと汗が滲んでいる。

瞳も潤んで、息を吐く速度が速くなっちゃってる。

「ハッ…ハァ、ァ…」

「思い出しました?」

「砂雪…お前もしかして…」

「ふふ。カナデくん、この感覚けっこう好きでしょ?」

「なに言って…」

「私もねぇ、カナデくんに使われた時は心底憎みましたよ?よりにもよって悠太とデートの前日だったし」

「ッ…」

「でもね?薬の効果はもう切れたはずなのにいつまでも忘れられませんでした」

「なにを…」

「カナデくんが触れてくれたところの熱を…いつまでも疼くんです」

耳元で囁いて、カナデくんのシャツの下。素肌に触れてみた。
ビクンッて体が跳ねて、苦しそうな目をして、私の手を押さえつける。

いつもみたいな力は全然感じられない。
生徒会室で媚薬を使われた時。
鈴城さんがカナデくんをソファに投げ飛ばせたのも納得できる。

「なんでお前が持ってんだよ」

「言ったでしょ?カナデくんがキャンプに行ってる間、私も忙しいんだって」

「これ…の為ッ…?」

「うんっ!先輩に会えない夏休み中、科学部室に通ってましたぁ。部長さん、簡単に作ってくれましたよ。カナデくんの名前を出したら一瞬でした。なんでイケナイことだって分かってるのにやっちゃうんですかね?どんな洗脳したらみんなあんなに従順になっちゃうんですか?」

現に、カナデくんは女子だけじゃなくて男子にも信頼されている。
日頃のコミュニケーションの賜物なのか、一瞬は躊躇しても従ってしまう。

つまんない日常の中で、本郷 カナデから与えられる快感にクセになってるんだ。
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