カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「もう…やめよう…砂雪…」

「なんでぇー?愛し方を教えてくれたのはカナデくんじゃん」

「その手は人を傷つける為にあるんじゃないだろ?俺を救ってくれた砂雪は…!」

「あー…、ごめんなさい。そうですよね。傷つけたいわけじゃないですよ?だってこうするとね…」

カナデくんの喉仏らへんに手を回してクッと締める。

「………ッ…さ…ゆッ…」

苦しそうに歪むカナデくんの顔。
たまんない。きれい…。

「ね、きもちいいでしょ?」

「ァ…ッ」

「正しい恋なんて忘れたよ。だってカナデくん言ったじゃん。私の恋を忘れさせてやるって。正しくなんかなくてもいい。絶対に逃してなんかやんないんだから」

私のちからくらい、抵抗すれば簡単に解放されるのに、今のカナデくんにはそれができない。

抗えない快感に、自分自身で嫌悪して。
触れるたびにビクビクって震わせるカラダ。

私の指を引き剥がそうともがくけれど、
媚薬の刺激が強いのか、圧迫された喉から漏れる喘ぎの理由を、私にだけ教えて?

「カナデくん、きもちいい?」

「ッァ…や…め…さゆ………」

バンッてドアが開けられた音がして咄嗟に手を離してしまった。
私の下でカナデくんが音を立てて息を吸って、咳き込みながら酸素を求めた。

「なんで…」

靴も脱がないままズカズカと部屋に上がり込んできた鈴城さんに投げ飛ばされて、カナデくんの体から引き剥がされた私を、モネが抱きしめて、わんわん泣いている。

「なに…どういうこと…」

鈴城さんが、前に見たことのあるポーチから、また見たことのある小さい袋を取り出して、その中の物をカナデくんに飲ませた。

じょうずに水も飲めないカナデくんのくちからボトボトと水がこぼれていく。

「カナデっ…カナデ、もう大丈夫だからね!?」

「なんでよ!あんた鎮静剤はもう無いって言ったじゃん!」

鈴城さんに胸ぐらを掴まれて、思いっきり頬を叩かれた。

「もう大丈夫って思ったからよ!こんな物無くてもちゃんと思い合って尊重して…愛し合える二人だって思ったからよ!なんてことしてんのよ!最低だよ!」

「うるさい!最初に同じことやったのはカナデくんでしょ!?ずるいよ!薬作らせたのもあんたのくせに…忘れたなんて言わせないから。あんたに最低呼ばわりされる筋合いないんだから!」

もう一度私の胸ぐらを掴んでモネから引き剥がした鈴城さんは、キッと睨みつける目をして…私を抱き締めた。
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