カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「サユちゃん…違うよ…」

モネがこんなに泣くのを見たのは出会ってから初めてかもしれない。

「サユちゃんは本郷先輩に愛されてて確かに不幸なんかじゃないかもしれない。でも…こんなことしてるサユちゃんは全然幸せなんかじゃない!」

「なんでそんなこと言うの?好きな人を救いたいって思うのっておかしいこと?」

「救いたい気持ちが間違ってるって言ってるんじゃないよ。サユちゃんの“救いたい”って意味は変だよ。だってそれを本郷先輩は望んでないじゃない」

「あんたに何が分かんのよ!」

声を張り上げた私をモネがギュッと抱き締めた。

弱いちから。

カナデくんより全然弱いその腕を、振り解こうと思えば簡単にできた。

それが正しくないってことも分かってた。

「なんで…なんでモネにそんなこと言われなきゃいけないの…」

「なんで分かんないの?本郷先輩の行動はいつもサユちゃんだけの為だって、誰が見たって分かることを、なんで先輩が一番分かってて欲しいサユちゃんには伝わってないの?先輩は間違ってないよ。救うことなんかなんにも無い。サユちゃんはただ愛されてればいいだけなのに…」

モネの肩におでこを乗せたら鼻がツンとして、涙がこぼれていく。

「うるさい…もうモネうるさいよ…なんで邪魔するの?私達、親友でしょ…」

「親友だよ」

「モネは私の味方でしょ?」

「味方だよ」

「私のこと…モネも責めるの…?」

「違うよ」

「ちがくない…モネは私の…いちばんの味方じゃないの………」

「好きだよ。サユちゃん…だいじで大好きで…私が誰よりも笑ってて欲しいのはサユちゃんなの」

いつも私の隣で笑ってた。
モネの言葉にはいつも私への愛情が含まれていた。

こんなにもモネに悲しい涙を流させているのは…私なんだ。

なのにモネは自分だってぐちゃぐちゃの顔をしてるくせに、私の涙を手で拭ってくれた。
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