カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「砂雪」

カナデくんが私に腕を伸ばした。

ゆっくりと近づいた私を引き寄せて、まだちゃんと力の戻らない体で抱き締めた。

「信じることが怖くなったら全部話して」

「…」

「待ってたんだ。ずっと砂雪に会える日を。もう待てない。手離してなんかやんねーから。お前が居ない世界に色なんかひとつも無い」

「カナデ…くん…怖いよ。一瞬一瞬はカナデくんの言葉を信じて、もう大丈夫って思ってもカナデくんがそっぽ向くたびに怖くなっちゃうの…」

「俺は砂雪と違うほうを見て進んだりしない。一緒に歩いていきたいんだ。もし俺がお前の意思を勘違いして違うほうを見てたら怒って欲しい。いくらでも怒ってくれていい。砂雪がそばに居てくれるなら、俺は砂雪にどれだけ人生を搾取されたっていいんだ」

「私なんかでカナデくんの人生を縛りつけたくないよ。でもカナデくんと一緒じゃなきゃもうムリだよ…」

「そうやって砂雪の中に強く俺の場所があるんだって思うだけで幸せだから」

鈴城さんが小さい子どもをあやすみたいに私の頭を撫でてくれる。

「カナデはね、とびっきりのバカなの」

「おい、なんだよバカって」

「だってそうじゃない?砂雪ちゃんの為なら本当になんだってするんだから。だから信じてあげてよ。だってカナデはあの頃、砂雪ちゃんの存在が無かったら今だって生きていけなかったかもしれないんだよ」

カナデくんがふわっと私を抱き締めた。

あったかいカナデくんの体温。
大好きな香り。

耳元で囁く声が、私を正しく戻してくれるって思えた。
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