カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「砂雪…お前だけがずっと、俺のヒーローだった」

ドンッて花火が打ち上がる音がした。

花火の絶景スポット。
悠太と歩いたあの土手は、ここからもそう遠くない。

カーテンを閉め切ったこの部屋からは花火は見えない。

開いてたってどうせ、またビルや灯りに邪魔されて見えないんだから。

それでもよかった。

カナデくんの漆黒の瞳。
可愛い顔が涙でぐちゃぐちゃになったモネ。
ただ一心で私を救いたいって本気で叱ってくれた鈴城さん。

目の前には抱えきれないくらいの愛情があった。

目には見えないけれど、こんなにも綺麗。

私は大バカ者だ。

今度こそ本当に私の罪は消えない。
カナデくんやモネ、鈴城さんがどんなに許してくれたって私の中には一生残るし、刻んで生きていく。

いつか全部綺麗に昇華できるだろうか。

カナデくんとおんなじ綺麗な心で、好きだってあなたに伝えられたら…。

何度間違ったって大丈夫、なんてカナデくんの愛情に甘える自分にはなりたくない。

カナデくんが信じてくれた、望んでくれた私にもう一度戻れたら、やっぱり砂雪はかっこいいヒーローだって思ってもらえる人間になろう。

私を信じて泣いてくれた人達に対して恥ずかしくない人間になろう。

カナデくんの心臓の音がすごく近くで聞こえる。

ちょっとだけ速く感じる心拍音。

そっとカナデくんに触れたら、ちょっと顔を逸らして「まだあんま触んないで」って困ったみたいに笑われた。

抱き締めてきたのはカナデくんなのに。
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