カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「なんでですか!そんなわけないじゃないですか」

「じゃあ黙ってろよ」

「中も見ないんですか?せめて何をくれたかくらい…」

「必要の無い情は持たないほうがいいわ」

鈴城さんが段ボール箱の中から赤い袋に包まれたプレゼントを一つ取って、ぶらぶらと揺らした。

「どうせ捨てるんだもん。物に情を移したって意味が無いの。一回一回そんな感情を持ってたらカナデは堪えられなくなっちゃう。そう思わない?」

「そうですか…?」

「こんなに求められることを私達が理解しようとしてもできないじゃん。そりゃ捨てちゃうことが正しいなんて誰も思ってないよ。カナデさんは歩くだけで求められちゃう。自分が望んでなくても。全部を受け入れてたらしんどいよ。さすがに」

長谷川さんが箱にしっかりとガムテープで封をして、マジックで「破棄」って書きながら言った。

それはそうなんだろうと思う。
私達は普通に生活していてこんなにも他人から求められることなんて無い。

需要を全て受け入れていたら先輩の身はもたないと思う。

そうやってどこかで切り捨てていかなきゃいけない苦悩もあるんだって私は初めて知った。

「えーっと、それでですね!」

重い空気を変えようとして、私はわざと明るく声を出した。
五人が私を見た。

「本郷先輩、さっき外出しなきゃいけないって言ってたじゃないですか。生徒会のお仕事ですか?」

「そうそう。まったりしてて忘れちゃいそうだった」

まったりなんて全然してないんだけど、鈴城さんは紅茶を一口飲んで、会長席に置いてあった黒革のファイルを手に取った。
表紙には「学園七不思議・依頼書 兼 報告書」の文字が刻印されている。

学園七不思議…?
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