カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
中村さんの言葉を聞いて少女はひどく落胆した。

「じゃあやっぱりヒロムくんにはもう会えないんですか…」

「二年生になったら美術の授業があるけど」

ノートに記録を録りながら言った長谷川さんを、中村さんが肘で小突いた。

しまったって顔をした長谷川さんは小さく手を合わせた。

「ヒロムくんのことは忘れたほうがいいんじゃない?」

中村さんが言った。
少女は泣きそうな目をしている。

「ヒロムくんが人間じゃないって認識はある?」

「当たり前じゃないですか…」

「だったら自覚があるうちにやめたほうがいいと思う。じゃなきゃあなたの人生がおかしくなっちゃうわよ。真っ当な恋をして…」

「あの!」

思わず中村さんの声を遮ってしまった。
失礼だったよね…。
後悔したけれど、中村さんが「砂雪ちゃん、どうしたの」って言ってくれた。

「あの…私は彼女の恋も間違ってるとは言えません…」

「でも好きな人の話になってさ、石膏像ですなんて言える?」

長谷川さんの言葉に少女はスカートの裾をギュッと掴んで俯いた。

長谷川さんはこの子に意地悪を言っているわけじゃない。
当然の意見だし、この子の幸せな道の為に言ってるんだ。
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