カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「媚薬って知ってる?」

「びやく…はい。そんな物本当に存在するんですね」

「ふふ。砂雪ちゃんは純粋なのね」

「なんで本郷先輩が?」

体に力が入らなくて壁を伝ってズルズルとずり落ちてしまう。
何度も元の位置に戻ろうとしていたけれど、「そのままでいいよ」って鈴城さんが私の頭を自分の肩に置いてくれた。

いい香りがする。
密着していた本郷先輩とやっぱり同じ匂い。

「科学部の部長に作らせたの」

「誰が?」

「カナデが」

「なんで?」

「…まだ分からない?砂雪ちゃんに言うこときかせる為よ」

「なんでそんなこと…犯罪じゃないんですか」

「正確にはそうかもね。部長も嫌がってたわよ。でも結果的に作った。カナデに逆らえなかったから」

「やっぱり本郷先輩は逆らう人間には酷いことするんですか」

「あはは!しないわよ。そういうイメージがついちゃってるだけ。あんなに完璧な人間が存在するわけない。絶対に裏があるって」

「なんで鈴城さんは知ってたんですか」

「私が依頼に行ったから」

「え…」

「さっき飲ませたのは鎮静剤。媚薬と一緒に依頼したの。媚薬の二倍の効力をつけるようにもお願いした。どう?効いてきたでしょ?」

「はい…少しラクになってきました…」

鈴城さんが私のおでこに触れた。
風邪を引いた子どもの熱を確かめるママみたいだった。
鈴城さんの手が冷たくて気持ちいい。

「んッ…」

「まだちょっと熱いわね。明日の朝には落ち着いてると思うけど…大丈夫?」

「朝…までですか…?」

「ちゃんと眠れれば大丈夫よ」

「はい…」
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