カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「ごめんね、お待たせ!」

待ち合わせ場所には悠太が先に着いていた。

十一時。
土曜日の駅前繁華街はすごく人が多くて、四月にオープンしたばかりのカフェの前にはすでに行列ができている。

悠太はその向かい側の本屋さんの前で待ってくれていた。

「砂雪、おはよ」

「もっと早く出れば良かったー!待たせちゃったよね」

「ぜーんぜん。俺が早く出過ぎちゃっただけ」

「ありがと。じゃあ行こっか、悠太の行きたいとこ!」

「そこだけどね」

「えっ?」

悠太は行列ができているカフェを指差した。
喋っている間にも行列は伸びていく。

「悠太の行きたいとこってこのカフェだったの!?」

「そうだよ。とりあえず俺らも並ぼう」

「うん!」

行列に並んでいるのはほとんどが女の子同士のグループやカップルだった。
四月にオープンしたばかりのこのカフェはデザートメニューが充実していて、SNSでもすごく話題になっている。

私もモネや友達と来てみたいなとは思っていたけれど、休日はいつもすごい行列に圧倒されちゃって、まだ店内には入ったことが無い。

「ごめんね。私がもうちょっと早く着いてればもっと行列短かったのに」

「いや。俺が先に並んでれば良かったよな。ごめん」

「…あはは!」

「ん?」

「私達、謝ってばっかだね」

「あはは。ほんとだな」
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