カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「お二人のお散歩の邪魔をしてすみませんでした。もう暗いからお気をつけて…」

立ち去ろうとした本郷先輩を、男性は引き留めた。
お姉さんはすっかり陽が落ちてしまった空を眺め続けている。

「君、本郷 カナデくん?」

「…さぁ?」

「君みたいな美しい人、見間違うわけ………まぁいいか。今日はありがとう」

「こちらこそ。また会えたら…」

「もう会えないよ」

「会えない?」

「さっきの質問に答えてくれる人をずっと待ってた。どうしても姉に教えてあげたかったから。彼女のおかげで願いが叶ったよ。ありがとう」

「私、お姉さんと約束しました。また会おうって…」

「また会えたとしても言葉を交わすことは無いだろうね」

「なんで…」

「あの」

「ん?」

「お姉さん、失礼ですがとても病弱に見えます。目の他にも何か?」

「ちょっと先輩!」

「いいんだ。姉が外に出るのはすごく久しぶりなんだ。いつもは窓から差し込む陽の光を浴びたり風の音なんかを聞いて過ごしてるよ。時々はこうやって散歩に連れ出すんだけど、一人で外出なんてさせたことも無い」

「それって…」

「監禁っぽい?まぁ、あながち間違ってもないかな」

「なんでそんなこと…!」
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