俺様御曹司は逃がさない
あたしの返信待ちなんてするような男ではない。


《以後、気をつけます》

《ん。もう寝ろ、俺も寝る》

《分かった。おやすみ》

《へーーい》


「うーーん。よく分かんないなぁ、九条っていう男は……」


再び目を瞑ると秒で寝た。


──── 次の日、狂ったように九条から連絡が来ると思いきや……。


「な、なんで……?」


一切連絡が来ない、逆に怖いんだけどぉ……。そんなことを思いながら、荷物の整理をしつつ教材にチラッと目を通したけど、ちんぷんかんぷん過ぎて見なかったことにした。

それから教材っぽい物には一切目を通さず、用意された本棚にただ詰めていく作業。


「ていうか……天馬ってヤバくない?」


本棚に並べられた教材を眺め、ため息しか出てこないわ。九条って頭も良いっぽいし、あのルックスで家柄も最強でしょ?運動神経も良さそうだし、神は九条に全てを与えすぎなのでは?……と思ったけど、それと引き換えに九条は最大の欠点を背負うことになった。


・・・・それは、“性悪(クズ)”。


あの感じ、ほぼ確実に女癖も悪いだろうな。ま、女癖が良かろうが悪かろうが、あたしには関係のないこと。お好きにどーーぞって感じ。


──── いや、マジでなんで?


どうして連絡が来ないの?これ、なにか試されたりしてる?サーバントのちょっとした試験的な?いや、でもさ?試験だった場合、あらかじめ言っといてくれないと困るよね?

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