俺様御曹司は逃がさない
いやぁ……高級感溢れる室内に気後れするっていうか、落ち着かないっていうか……。
九条は何食わぬ顔をして偉そうにソファーに腰かけてるし。
「さっきから何ソワソワしてんの?あ、漏れそうならさっさとトイレ行ってこいよ」
「違うっ!!」
思わず大きな声を出してしまった。
ていうか、女子に向かって今のセリフはなくない!?『あ、漏れそうなら~』って……本っ当にありえないわ!!
九条って見てくれは申し分ないし、超エリートで俗にいうハイスペック男子ってやつなんだろうけど、性格に難ありすぎない!?この男がモテてる意味があたしには分からん!!
「なぁにイライラしてんだよ。もしかして生理前?」
・・・・いや、ほんと、マジでさ……こいつデリカシー皆無にも程があるでしょ。信じらんないわ、ドン引きなんですけど。
ゴミを見るような冷めきった目で九条を見ると、ソファーから立ち上がって、あたしの目の前まで来た。
「俺をそんな目で見る女、この世にお前くらいしか居ねーよ?」
「まだ出会ってないだけなのでは?」
「さあ?どうだろうな」
ゆっくり伸びてきた手が、あたしの頬に優しく添えられた。
・・・・ちょいちょいちょい!!
これまた少女漫画的な展開でいうと、キスする流れになるんじゃ?!
「あ、あのっ、九条っ……」
「動くな、黙ってろ」
あたしは口を強く閉ざして、目をギュッと瞑った。来るであろう衝撃(キス)に備えて!!