俺様御曹司は逃がさない
「は、はあ……」

「あの九条様がひとりの女性に執着するなんて、私が把握している限りはありません」

「へえ……」


『あの九条様』ねえ……。どの九条様かは知らないけど、要は“クズ(女にだらしない)”と言いたいんだろうな。


「七瀬さんは“特別”なのかもしれませんね。九条様のサーバント、頑張ってください。サーバントリーダーは貴女のことを目の敵にしていますが、私は違いますので御安心を。ぶっちゃけ他人に興味がないので」

「ありがとうございます。助かります」


・・・・そして、前田先輩と共に教室の前までやって来た。ここが九条達の教室かぁ……とか思いながら入ろうとすると、ギュッと腕を掴まれて止められる。


「七瀬さん。マスター達を待ちましょう」

「あ、はい……すみません」


おそらくマスターが不在中、この教室には入るな……という意味かな。

・・・・それにしても前田先輩……凛としてて、ひとつひとつの動作が綺麗だなぁ。女性らしいとは、まさに前田先輩のことだと思う。

それに比べてあたしは……うん、女性らしさとは無縁すぎてワロた。

そんなことを考えながら九条達が来るのを廊下で待っていると、他のマスターやサーバントが数名教室に入っていく。

前田先輩が会釈してて、あたしだけ会釈しないわけにもいかないから、とりあえず前田先輩に合わせて会釈をしておいた。

・・・・なんかサーバントって大変だなぁ。

< 121 / 234 >

この作品をシェア

pagetop