俺様御曹司は逃がさない
猫かぶり九条の再来ですか……あははは。


「あたしの幼なじみ」

「へぇ~、そうなんだ。初めまして、七瀬さんの""ご友人""君。僕は九条っ……」

「舞にちょっかい出してねぇだろうな」

「……それは一体どういう意味かな?」


バッチバチと火花を散らしている2人。これは……どうすればいいの?


「舞。なんでお前、天馬の制服なんか着てんだよ」

「それは僕がっ……」 

「あーー!!あの、あのね?この九条君が……迷子、迷子になっててワンワン泣きべそかいている時に、たまたまあたしが通りかかって、助けてあげて~~的な?いやぁ~、どうしてもお礼がしたいって言うからさ、まあ……流れで天馬に通うことに~~みたいな?ね、九条君」


頬をピクピクひきつらせながら九条を見ると、めちゃくちゃ冷めた顔をしてあたしを見ていた。

“覚えとけよ、お前”と言わんばかりの瞳であたしを見ている九条に、苦笑いをしながら背筋が凍りそうになったのは言うまでもない。


「そうそう。どうしてもお礼がしたくてね。七瀬さんの学費やその他諸々……全て免除されるから、君が心配するようなことは何もないよ」

「キナ臭いな」

「疑われても無理はないと思うよ。だって君と僕とじゃ済んでいる世界も次元も何もかもが違うからね」

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