俺様御曹司は逃がさない
あたしは前田先輩とハイタッチを交わして、サーバント達の元へ向かった。周りの視線は相変わらず痛いし、こそこそと何やら言われている。でも、正直こういうのは慣れっこ。

“貧乏”、“父親無職”……今までもこういう白い目を向けられることはあったから──。


「あれが九条様の?」

「なんだあれ。貧乏くせぇ女」

「前田さんに取り入って何を企んでんだか~」

「九条様も何を考えているのかしら」


・・・・勝手に言ってろ。どーでもいい。“結果で黙らせる”……あたしは絶対に負けない。

それから不正がないよう監視の元、支給されたジャージに着替えて本会場へ向かった。


「……いや、もう……何もかも規格外だなぁ、天馬は」


オリンピックの競技場ですか?と言いたくなるような規模の会場へ連れて来られたサーバント達。これが天馬学園の敷地内にあるっていうのが、凄いを通り越してイカれているとしか思えない。客席には……天馬の学生やその関係者達が居るっぽいな。


「サーバントの諸君」


スピーカーを通して聞こえてきた声は主は……御立ち台の上に立っている上杉先輩のものだった。


「君達は今日、篩にかけられる……以上だ」


・・・・え、それだけ!?種目内容とか、合格・不合格の基準値とかさ……普通説明するでしょ!?

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