俺様御曹司は逃がさない
あたしは18番だから……18、18っと……あったあった。席に座って、用意されていたお弁当を黙々と食した。

しばらくすると放送がかかる──。


「次の種目は持久走になります。14時45分までに競技場へお越しください」


・・・・やっぱ持久走かぁ。その放送がかかるとガヤガヤと皆が動き始めた。まだ時間あるし、ちょっとのんびりしよ。

顔を上げて天井を見つめた。そして、ゆっくりと目を瞑る──。

ガシャンッ!!

その音でパッと目が覚めた。いつの間にか寝ちゃってたみたい……あっっぶなぁーー。

音がした方をチラッと見ると、小柄な女子が床に倒れていた。それを離れた所から見てクスクス笑ってる女子達が数人。そして、休憩所から去っていった。

周りは見て見ぬふり。このテストはあくまで個人戦、ライバルが減れば減るだけ有利になるのかもしれない。

・・・・だから、助ける義理もないってことか。

なにそれ、アホくさ──。

あたしは倒れている女の子に話しかけた。


「あの、大丈夫ですか?」

「……っ、体がっ、痺れて……動かないの……っ」


大粒の涙を流して、焦っているのか呼吸がかなり乱れている。


「落ち着いて。ゆっくり、ゆっくり息を吸って吐いて。今、救急班呼んでっ……」

「胡桃(くるみ)!!!!」

「純(じゅん)……君っ……」

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