俺様御曹司は逃がさない
あたしを突き飛ばす勢いで割り込んできた男。

・・・・どうやら純君とやらは、この胡桃って子のマスターらしい。


「あいつらがニヤニヤしてから、胡桃に何かをしたってすぐに分かった。ごめん、ごめんね……胡桃。僕のせいで、僕が君をサーバントにしたいなんて言わなければこんなにことには……」

「純君……っ、私が純君の傍に居たかったから……だからっ、サーバントになりたいって……っ、頑張りたいって思ったの……。ごめんなさい、純君……っ、もう純君の隣には居られない……っ」

「……っ、胡桃……ごめん、ごめん!!」


・・・・チッ。

なんだこれ、胸くそ悪すぎでしょ。

あたしは休憩所を飛び出して走った──。


「ちょっとあんた達」


あたしがそう呼びかけると、振り向いた女達。


「あら、何の用かしら?」

「そんなこと言わなくても分かってんでしょ」

「さあ?何のことだかサッパリ」

「とぼけんな。あの子に何をしたの」

「……ふふ。ちょっとした痺れ薬よ。人体に影響はないわ。2~3時間もすれば元通りよ?」

「は?ふざけてんの?あんた達、何をしたかっ……」

「痺れ薬を使うな……なぁんてルールは無いもの。何だってアリなの。それに、一般庶民の分際で私達に話しかけて来ないでくださる?穢らわしい」

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