俺様御曹司は逃がさない
・・・・確かにルールはない。さっきの競技を思い返してみれば、何人か不自然にリタイアしている。殺さなければ何でもあり……そういうこと?


「あなたも気をつけることね」


そう言い残して去っていった。


──── 天馬学園……つくづく気に入らない。

 
休憩所に戻ると、2人とも泣きじゃくっていた。

・・・・さて、どうしようか。

ルールはない、何でもあり…………ね。

おそらくこの2人、同学年だろう。


「あの、めっちゃくちゃ失礼なこと聞くけどいい? 胡桃ちゃんって学力の方どう?ヤバい感じなの?」

「「……え?」」


いきなり不躾なことを聞くあたしに、2人とも涙も引っ込んで驚いている。


「学力の方が問題なければ、この体力テストの結果が多少悪くても問題ないんじゃないかな?」

「……私ね、サーバント試験の学力テストが最下位だったの。だから……っ、この体力テストを落とすわけにはいかなかったの」

「僕が胡桃と離れたくなくて、僕の我儘で危険な目に遇わせてしまった」


・・・・あたしだってこれを落とすわけにはいかない。でも、あたしの落としたくない理由はある意味不純だ。見返したいが為に頑張っている。


でも、胡桃ちゃんは違う。ただ純粋に、大切な人の傍に居たくて頑張っている。その為にきっとたくさんの努力をしてきたと思う。

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