俺様御曹司は逃がさない
──── この子を助けないという選択肢は、あたしの中に……無い。


「あたしはそんな出来た人間じゃないよ。たまたま九条の“暇潰し”に選ばれただけ。あたしはただ、目の前で起きたこの出来事を見て見ぬふりして、後になってタラレバしたくないってだけのこと。要は自分の為、胡桃ちゃん達の為じゃない。その辺勘違いしてないでくれる?」


あたしは冷たくそう言い放った。これで少しでも、胡桃ちゃんの気持ちがラクになってくれればいいんだけど……。それに、所詮はあたしのエゴでしかないから、あながち間違っていない。


「……ま、舞ちゃん……」

「あのっ!!この紐でいいかな!?」


純君が持ってきたのは、いい感じに幅の太い紐だった。


「純君ナイス」


あたしは純君から紐を受け取って、胡桃ちゃんをあれよこれよという間に背中に括りつけた。


「す、すごい……」

「舞ちゃんって何者……?」

「言っとくけどあたし……死ぬほど弟達をおぶってきたから!!」


胡桃ちゃんはかなり小柄。身長はこの感じだと……145㎝くらいかな?失礼ながら推測だけど、体重は35㎏くらいな気がする。普通に考えたらめちゃくちゃ軽い。とはいえ……ぶっちゃけキツいだろうな。

< 165 / 193 >

この作品をシェア

pagetop