俺様御曹司は逃がさない
──── そして、あたし達は競技場へ向かった。


「あのっ、七瀬さん!!」

「ん?」

「本当にごめんね……。ありがとう、僕達の為に」


別に見返りなんて求めてないし、望んではいない。でも……今のこの2人には、何かがあった方が気がラクなのかな?


「……純君、頭良い?」

「へ?……ああ、まぁ、ほどほど……かな?」

「そっか。なら、あたしに勉強教えて?それでチャラね。あ、胡桃ちゃんも一緒に勉強する?」


あたしがそう言うと、純君は何かを悟ったような顔をして優しく微笑んだ。


「はは……なるほどね。九条君が君を選んだ理由が何となく分かったよ」

「うん。私も」

「え?」

「七瀬さん……無理だけはしないで」

「うん」


あたしが会場へ入ると一気にザワザワし始めた。


「18番、七瀬舞。君は一体何をしているのですか?」


この声は……振り向くと、上杉先輩が眼鏡を光られてあたしを睨んでいる。


「あたしがこの子に怪我をさせてしまったんです。だから、責任を持ってあたしがこの子をゴールさせます」

「君は何を言っているっ……」

「別に問題無いですよね?だって、ルールとか無いみたいですし、""何でもアリ""なんでしょ?この子が自分の足で走ろうが、あたしの足を使おうが問題ないと思いますけど」

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