俺様御曹司は逃がさない
あたしは上杉先輩を見上げて、一切目を逸らすことなく見つめ続けた。


「……つくづく馬鹿ですね、あなたは。後悔してもしりませんよ?どうぞ、勝手にしてください」


眼鏡をカチッと上げて、去っていく上杉先輩。すると、キャーキャー歓声が上がり、何事?と思ってそっちの方を見てみると、こっちへ向かってくる蓮様がいた。


「舞ちゃん、これは一体どういうことかな?誰に何をされたの?」


真剣な表情をしてあたしを見ている蓮様。


「いえ、あたしがこの子に怪我を負わせてしまったので責任を取るだけです」

「無謀すぎだよ。この持久走はこのトラックを10キロ走り続けるんだ。合計10㎏の重りを手足につけて……だ」


・・・・わおっ、マジっすか。


「そ、そんな……。舞ちゃん、やっぱ無理っ……」

「問題ありません。あたし、気合いと根性だけが取り柄なんで。体力にも自信があります」

「舞ちゃん……君の計測を全部見てた。男女別ランキングでは間違えなく断トツ1位だよ。男子込みでも上位に食い込むレベルで君の運動神経・身体能力は高いと言える。そして、持久走はこの試験で一番重要視される種目っ……」

「要は今までの結果が良くても、この持久走の結果次第で全てがパーになるってことですか?」

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