俺様御曹司は逃がさない
今のあたしは、ゴールができなかった時の言い訳を探してるみたいで、そんな自分に嫌気が差す。あーーもう、なんだっていい。もう全っっ部あたしのせいってことにしとけ。


──── 次々とゴールしていくサーバント達。


それが地味にあたしの精神を抉り取っていく。

まあでも、日頃走り込んでいる……もしくはこの為に鍛えてきたんだろうし、ゴールしてっても何ら不思議ではない。あたしだって何もなきゃ今頃ゴールしてただろうし。

今、28分か…………焦る気持ちを抑えてペースを上げた。

胡桃ちゃんが重いわけでは決してない……なのに、すんごく重く感じる。全身が悲鳴を上げて、あちこち痛すぎてもうどこが痛いのかもよくわからない。感覚がどんどん麻痺していく。

限界なんてとっくに越えて、今こうして走れていることが奇跡と言っても過言ではない。もはや、立ってられるだけでも奇跡だよ、これ。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」


ああーーヤバいな。呼吸が……酸素が上手く取り込めない。呼吸の仕方を忘れたみたいに息ができなくて苦しい。

吸って、吐く……この当たり前で単純な行為でさえ、やり方が分からなくなってしまうほど、あたしの体も思考も機能しなくなっていた。


「舞ちゃん……っ、舞ちゃんっ!!もういいよっ!!このままじゃ舞ちゃんがっ……」

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