俺様御曹司は逃がさない
「柊弥、もう限界だろ。舞ちゃんをっ……」
「あ?あいつがやるって決めたんだ。黙って見とけよ、蓮」
・・・・限界なんてとうに越えてるだろうな。あいつの苦しむ表情が俺の胸をギュッと握るように締め付けてくる。この感情は一体なんなんだ?
今すぐにでも辞めさせてやりたい……そう強く思うこの気持ちは一体なんなんだよ。目を逸らしてしまいたいくらい、あいつを見ていると息苦しくて仕方ねえ。
ガンッ!と音を立てて立ち上がって蓮。
「おい。どこ行くんだよ」
「決まってるだろ?もう彼女は無理だ」
「お前が勝手に決めんじゃねーよ」
「どう見ても限界を越えているだろ?柊弥、君は本当に彼女のことを大切に思っているのか?さっきもそうだ。揉めて、理不尽に平手打ちをされているのにも関わらず、彼女を助けにいかないなんて……どうかしているよ。柊弥」
「あいつはそんなことじゃっ……」
「『そんなことじゃ折れない』そう言いたいのか?……君が思っているほど彼女は強くないよ。すぐに壊れてしまっ……」
俺の意思とは関係無く、体が勝手に動いていた。蓮の胸ぐらを掴んで壁に押し当てながら俺は今、どんな顔をして蓮を睨み付けてんだろうな。