俺様御曹司は逃がさない
「柊弥様、あのような言い方は如何なものかと」

「あ?なにお前。俺に説教するつもりーー?」

「この病院、ここの医師は優秀です。もちろんスタッフも。九条家はっ……」

「あーー、ハイハイ。分かった分かった。“九条家はここに世話になってる、融通が利く~”とか言いてぇんだろ?んなこと分かってるっつーの」


すると、“やれやれ”と言いたげな顔をして煙草に火をつけた霧島。


「だったら脅すような言い方は慎んでくださいよ」

「ったく、九条家の飼い犬とはまさにお前のことだな」

「それ、お前を育てたと言っても過言ではない俺に言っちゃう?クソガキが」


はい。これがこいつ、霧島の本性ね。


「育てられた覚えもねえっつーの」


──── 霧島はいつだって俺の側にいた。


昔、かなりのヤンチャをしていたらしく、その界隈ではそこそこ有名だったとかで、調子に乗った霧島のピンチを救ったのがジジイだったらしい。ま、詳しくは知らんけど。その恩的もんで俺の世話係をしてるってことだわな。

「なぁ、柊弥」

「あ?」

「七瀬ちゃん……いいんじゃねーの?」

「は?なに言ってんの?お前」

「柊弥のことを心底嫌がってるあの感じ、ゴミを見るような目……今までの子とは全然違うじゃん。家柄とかルックスとかにマジで興味無さそうだし。悪い子じゃないっぽくね?」

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